アメリカはニューヨークで鉛筆を目玉商品としている文房具屋が、一部のコレクターの間で話題となっているようです。その文房具屋の鉛筆の売り方があまりにも見事なので、ここに紹介したいと思います。
文房具屋の名前は「CW Pencil Enterprise」。ニューヨークの100a Forsyth Streetにある小さな店のオーナーは若干25歳の女性のカロライン・ウィーバーさん。もともと彼女自身が鉛筆のコレクターで、世界中の鉛筆を収集するのが趣味だったようです。
そんな趣味が高じて2014年にオープンしたのがこのお店で、開業には商品の仕入れ、店舗の賃貸料の支払い、ウェブサイトの立ち上げなどのために8万ドル投資したそうです。
一瞬、鉛筆なんて売って儲かるの?と思いますが、この店の売る鉛筆は普通の鉛筆とは違います。
日本を含め世界中のこだわりの鉛筆を揃えていて、安いのだと1本25セント程度ですが、高いものだとヴィンテージの鉛筆が75ドル(8000円)もするのです。そのほか大人気のドイツ製の5ドルの鉛筆は売り切れになるなど、高級鉛筆が今コレクターたちの間に話題となり、バカ売れしているようです。
なんでそんなに売れるのかなあと思って、ECサイトを見てみたんですがやはり売り方がオシャレでハイセンスなんですね。
例えばこのペンケース。日本のMIDORIの製品です。筆箱が67ドルもします。見せ方がとにかく上手くて高級感溢れていますよね。商品の概要もメーカーの無機質なものをコピペしたのではなく、自分で書いた感じが出ていて好印象を与えます。
古い木のデスクの上にこれを置き、年季の入った鉛筆で原稿用紙に小説でも書いている作家の姿が想像しちゃいます。なにより歴史と威厳を感じさせます。
これと全く同じ商品を別の人が売るとこんな感じになります。なにを隠そう日本が誇る楽天の商品ページです。
値段は3,693円(税込み)とほぼ半額です。
でもどちらかを買うかとなったときに二つの商品ページを見せられたら、ほとんどの人が高いお金を出してでも前者を購入するんじゃないでしょうか。鉛筆だとこんな見せ方しています。こちらは「BLACKWING」のメイン・イン・ジャパンのものです。
楽天だとこんなふうになります。楽天には申し訳ないですが、ダサすぎです。商売気出しすぎて余計に買いたくなくなる。
「CW Pencil Enterprise」の商品がコレクターに売れるのはおそらく商品に対する愛情とこだわりが感じられるからでしょうね。
一つの一つの商品にストーリーを持たせ、綺麗な写真を載せて紹介する。オーナーのカロライン・ウィーバーさんは自身もコレクターのため、コレクターの気持ちもよく分かるし、本当に良いものを厳選して顧客に提案しています。そんな彼女のファンが彼女を信頼して買ってくれているのです。
それはアフィリエイトにも通じるものがありますね。アフィリエイトは商品を大量に仕入れることはなくても数ある商品の中から選定し、実際に使ってみて良かったものを紹介するのが王道です。
そして読者とアフィリエイターの間に信頼が築き上げられたときに始めてこの人が言うのなら買ってみようと成約できるのではないでしょうか。このようにリアルビジネスと同じように考えると、アフィリエイトでのやるべきことも見えてきますね。
ちなみにカロライン・ウィーバーさんのインスタグラムにはフォロワーが10万人以上もいます。その一つの一つの写真がセンスがあって、見ていると思わず欲しくなってきます。日本の製品もかなり好きなようで度々紹介しています。
今の時代、下手な広告を打つよりこういう人に宣伝してもらったほうがよっぽど効果がありそうですね。これだけたくさんのファンがいると、様々な方法で収益を挙げられるようです。
特に面白いなあと思ったのは、有料会員だけに厳選した鉛筆を毎月1本送るというメンバーズ特典。この年会費が80ドル。つまり1ダースの鉛筆を80ドルで販売していることになります。それでも会員がすぐに募集人数に達し、現在のところは追加募集はしていないそうです。
いいなあと思ったのは、たまに1週間ぐらい店を閉めて海外に旅行がてら新しい商品を買い付けに行くんだそうです。
もともと自分自身がコレクターだからそういう旅行は楽しくてしょうがないはずです。すでにアメリカの投資家たちからは目を付けられていて様々なビジネス拡大のオファーを受けているのにその全てを断ってきているそうです。
その理由はずばり
「ビジネスウーマンになりたいのではなく、私はただ好きな鉛筆を売りたいだけだから」。
痺れますね。